痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

絶句する程に今更だけど、飛天御剣流について妄想してしまった4月29日。

何故表題のようなことを妄想してしまったのか。
それは今朝、GW初日を夜勤明けという疲労困憊で迎えた自分がTwitterを起動すると、何故か龍槌閃惨が強いというpostが目に入ってきたのです。
どんな文脈でそれが発されたのかは分かりませんが、それを見た自分は思ったのです。

「龍槌閃惨って、むしろ隙が大きくて弱いんじゃないか?」と。

 




龍槌閃惨が隙の大きい技だと感じる理由は主に二点。
空中から切りかかる際に避けられたら、そのまま切られるんじゃないか(反撃されるんじゃないか)という不安。
これはまあ、飛天御剣流の神速を活かせば躱されることはまず無いということで無視できるのかもしれません。
しかし、もう一点。人体に刺した刀を引き抜くのに手間取るんじゃなかという不安。こちらは無視できないのではないでしょうか。
作中での描写を見るに、間違いなく刀は頭蓋骨を貫通しているでしょう。そこから引き抜くのって、そこそこ時間がかかりそうなイメージがあります。
だからこそ、比古清十郎は白外套で筋肉を鍛えているのかもしれませんが、それにしたって態々「惨」に発展させる必要性が見えづらいのです。

これが、一対一を想定した技なら、別段問題はないのです。
刀を引き抜くのに時間がかかろうが、相手は既に絶命しているのですから。
しかし、飛天御剣流は戦国時代に端を発する、対多数を想定する剣術です。
龍槌閃惨は、その飛天御剣流の戦術に合致していると思いづらいのです

飛天御剣流が戦国時代の剣術だということを前提にして、龍槌閃について考えてみます。
龍槌閃は空中に飛び跳ねることで、斬撃に加重を加える技です。
そして戦国時代において、戦う相手は鎧を着込んでいることも多いはず。
そう考えていくと、龍槌閃は鎧の上から叩き切るあるいは鎧の上から叩き潰す技なのかもしれません。
そしてその発展形である龍槌閃惨は、鎧の隙間から刺し貫く技なのかもしれません。介者剣術ってやつですね。
但し、空中から首元の隙間を狙えるかって言うとやや疑問が残ります。

どちらかと言えば、空中に飛んだ術者を目で追ってしまったが故に、がら空きになってしまった顔面を刺し貫く技なのかもしれませんね。
目で追ってこなかった場合は、龍槌閃として脳天を兜の上から叩いて首の骨をへし折る
飛んだ自分を目で追ってきているということは、そのまま龍槌閃として発動すると、角度的に兜に阻まれる可能性も生まれそうですし。
龍槌閃惨は龍槌閃で仕留め切れない状態になってしまった場合の、仕方がなく切り替えて発動する技なのではないでしょうか。

しかし、これだけではまだ対多数を想定しているとは言えません。
結局一人しか倒せないわけですから。

そこで龍槌閃の最大の特徴に着目します。空中を飛び跳ねるという点ですね。
空中へと移動することで、相手からの包囲網から脱出すると同時に、相手に間合いを取らせない。そういう利点が発生する可能性は非常に高いです。

この二点から考えると、龍槌閃は位置取りを変えながら相手を攻撃する技だと考えることができるのではないでしょうか。
龍槌閃に限らず、飛天御剣流の多くの技が、そういう戦術としての技なのかもしれません。

例えば龍翔閃。これも龍翔閃と同じく、攻撃と同時に移動する技だと考えられるでしょう。
狙う場所が、首元へと変わっただけ。
また、龍翔閃と龍槌閃を組み合わせることで、最初に提示した「避けられた場合」を互いに補い合っていると考えることも可能です。龍槌翔閃は二連撃ではなかった?

龍巻閃。相手の攻撃を回避しつつ攻撃。また相手の背後にまわるという性質上、包囲網を抜けたり、位置取りを変えることもできるはずです。
龍巻閃旋は、突進技として、より移動を意識した発展形かもしれません。

土龍閃。め、目眩まし?

龍巣閃。乱撃として、鎧の弱い部分各所をを斬りつける技のような気がします。
龍巣閃咬は、乱撃で無理やり鎧の薄い一部ごと人体を破壊する技?
乱撃の性質上、複数人を同時に斬ることも不可能ではなさそう。

抜刀術全般。……どう考えても対多数を相手取る技とは思えない

考えれば考える程、飛天御剣流の「最小の動きで複数の相手を一瞬で仕留める」は、一つの技で複数人を相手にするという意味ではなく、一刀一殺を繰り返し続けることで達成しているのではないかという気にさせられます。
そもそもとして、飛天御剣流の行き着く先が九頭龍閃と天翔龍閃ですからね。
どちらも複数人を相手にする技ではなく、一人を相手にする技としか思えません。

一刀一殺を前提と考えるなら、抜刀術が多く組み込まれていることにも納得がいきます。
神速の抜刀術であれば、鎧の上からでもダメージ、下手すれば斬り込むことまで可能なのかもしれません。

また、乱戦混戦が避けられない戦国の戦であるならば、倒した相手の刀を奪って使うといった戦術も考えられます。
鞘に収められた相手の刀や落ちている刀を奪いつつ、抜刀術で別の相手に反撃、とか。
刀を奪う前提があれば、飛龍閃や龍槌閃惨のような、刀を失う可能性の高い技の存在にも納得がいきます。

飛天御剣流。それは、神速を活かし、相手に間合いを詰めさせず、常に自分の間合いで、一人ひとりを確実に切り倒していく剣術なのかもしれませんね。

 


……貴重なGW初日を、こんな妄想に費やした僕って一体。