痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

『仮面ライダーゼロワン』第29話までの感想と新章への期待を書き殴る4月4日。

そろそろアウトプットしておかないと観るのを止めそうになってしまった。ので、何様だよ目線で感想を書いてみるっす。
主に2クールの内容について。劇場版にも触れます。ネタバレ注意っす。
 

 
■天津垓について


『ゼロワン』の感想を漁ると高確率で目にする不満が2点あるような印象があって、その片方が天津垓に対する内容だと感じています。確かに私も彼に対しては思うところが多々あるっすけど、感想を漁っていて感じるほどの熱量は、個人としては持てないな、となってるっす。

・ストーリー進行における敵役と悪役の違い

所謂平成二期の、特に後期作品では、主人公たちが戦う相手は、彼らなりの信念=正義があるタイプのキャラクター造詣が多かったように思うっす。例えば檀黎斗。例えば猿渡一海。例えばアラン。前期作品だと園咲霧彦もそのタイプかな。
こういうタイプの相手は、視聴者目線だと(時には作中人物目線でも)言っていることが分からなくもないなと思わせることも多いっす。主人公たちが彼らと戦わなければならないのは、どちら側も言っていることは分かるけど、でも両方を採用することはできない=正義が相容れないから、と云う理由付けでストーリーを展開させるわけっすね。
私はこういうタイプを敵役と呼称しているっす。加えると、こういうタイプの相手の方が好みっす。

それに対し、ただただ人類を絶滅させたいとか、それ以上主人公たちが止めなきゃならない理由がいらない目的で敵対する相手もいるっす。私はこのタイプを悪役と呼称しているっす。
悪役はストーリー展開上主人公たちと戦わなければならないから登場するキャラクターに多い印象っす。そのキャラクターに意味があるというより、戦うというイベントそのものに意味が求められる時に出てくるキャラクターみたいな。
自分の中でも定義が不安定ではあるっすけど、彼らを主人公にしてストーリー展開ができるかどうかで考えて分類することが多いっす。主人公になれるなら敵役。なれないなら悪役。そもそもこういうことを考える時以外で分類する必要はなかったりするっす。

で、天津垓の話
彼は或人のヒューマギアは心のある道具、だから一緒に笑い合えるという考えに対して、ヒューマギアは心のある道具、だから危険と云う考えがあり、正義が対立しているように見えます。ヒューマギアは人間が行うには難しい(無理)な作業が行える、に対しても、ザイアスペックで人間の可用性は拡張できる、と対立しているように見えます。劇場版で判明した『ゼロワン』における仮面ライダーの定義に対しても、仮面ライダーは兵器だと、対立しているように見えます。
が、この辺りの対立意見をまとめていくと、どうにも支離滅裂なキャラクター造詣になっていく。
(ヒューマギアを廃絶したらレイダーの仮想敵がいなくなってレイドライザー売れないじゃん、みたいな)
その支離滅裂さに着目されて、ちょっとどうなのと思われてしまう。

なんですけど、彼を敵役ではなく悪役として認識してみると、しっくりした印象に変わります。彼なりの信念があって或人と戦っているのではなくストーリー展開上或人と戦わせる必要がある為、ただただ或人を否定しているだけの悪役。って考えると、支離滅裂さがむしろ正しいとまで思えてくる。信念があると倒すのに躊躇いも出てくるっすからね。

天津垓のすごいところは、視聴者に敵役だと思わせてる点だと思うっす。役者さんの演技がどちゃくそ巧いんですよね。大物感が半端ない。その巧さがアダになって(?)敵役だと思われてしまうのがちょっと惜しいような気もしてるっす。そう考えると演出(演技指導)に問題があるのではとも思うっすが、大企業の支社長が小物感溢れる演技をされても困るので、致し方ないのかなあって印象っす。


■お仕事五番勝負について

感想サイトを漁っていて出てくるもうひとつの不満がお仕事五番勝負っす。私も大ッキライっす!

個人的にお仕事対決って着眼点自体は悪くないと思ってるっす。『ゼロワン』はお仕事紹介をやらなきゃならない作品らしいので、そういう点でも回避不可能なイベントなのかなって納得もできるっす。

が、対戦者同士は正々堂々としなさいよ! って顔になるっす。

人間側があれやこれや不正手段を使って、何がお仕事紹介っすか!
不動産仲介業は他の企業と差をつける為に、常日頃から建物を破壊してるっすか?
政治家は汚職を隠すお仕事っすか?
検事さんは真っ当な人間でしたけど、そもそも刑事裁判自体が対決に向いてないっす! (親権をどちらが取るべきかみたいな、離婚裁判なら対決として成立するとは思うっすけど……)

対決する人間(とヒューマギア)は勝負に真摯。だけど天津垓や第三者が裏で妨害して、みたいな展開なら楽しめたんじゃないかなあと思うっす。全ては妄想っすけどね。

その道のスペシャリストがザイアスペックをつけてヒューマギアと対決/勝利しても、ザイアスペックの有用性とか、ヒューマギアの不要性は訴えられないよなあって印象が最後まで拭えなかったのも残念。一般的な能力の人材、それこそ新入社員がヒューマギアと対等になれるからこそ、ザイアスペックってすげぇ商品なんじゃないかなと思うっすし、その道のスペシャリストがザイアスペックを使ってもヒューマギアに負けるのなら、その仕事は人間よりもヒューマギアがやったほうが良いってことの証明にしかならないっすよ?

後、五番勝負自体は飛電が勝ったほうが面白かったと妄想してるっす。その方がTOBの撤回? そんなの本当に信じてたんですか?」的に天津垓の掘り下げができるのと、何よりも五番勝負に負けた影響で或人がどちゃくそ情けないだけのキャラクターになっているのが残念でならないので、それを回避してほしかったっす。
社会風刺みたいなことがやりたかったのなら、サイレントマジョリティを持ち出して「この街はヒューマギアを不要だと思ってるんですよ!」な展開もできたっす。


■飛電或人が情けない問題

2クールに渡ってマギアを止めて人間を救い、最後のお仕事対決では社長自らビラを配って頭を下げ続け、敗北が確定した後は土下座して、けれども待っていた結末はヒューマギア不要の世論と社長退任。にも関わらず、可哀想と云う印象よりも、情けないと云う印象の方がよっぽど強い。

って言うのも、或人は別にヒューマギアのことは好きじゃないよね? 好きなのはあくまでも父親代わりのヒューマギアと、社長秘書のヒューマギアだけで、他のヒューマギアに思い入れはないっすよね? 第1話でヒューマギアにお笑いが分かるわけないとか、下に見てたぐらいっすもん。
ヒューマギアに対する知見が皆無過ぎるっすよ。専門家になれとまでは言わないっすけど、もう少し個々のヒューマギアに対して、意思を尊重させてほしいなあ、と。その辺りを拾えないままあの展開になったので、イマイチ可哀想って印象にならない……。

そもそも或人がヒューマギアを道具として捉えているのがかなり引っかかってるっす。道具だから量産するなんて発想が出てくるっすし、その思考が役立った局面もあるので、道具として捉えるいるだけならまだ良いっす。しかし、その道具と笑い合える未来って、具体的にどんな未来っす?

個人的な『ゼロワン』最大の不満は、作中で提起した問題に対しての回答を提示しない点っす。

劇場版で提起された問題である『ヒューマギアが人間を笑顔にするのなら、人間はどのようにしてヒューマギアを笑顔にするのか』は依然としてスルーされ続けたまま。(これに関しては或人に提起された問題ではないので仕方ない面もある。ものの、これに回答しないまま笑い合える未来は語れないと思うっす)
お仕事対決のラストで提起された『ヒューマギアと人間が同じなら、そもそも人間で良いんじゃない?』『人間の雇用問題どうするの?』は未回答。
この辺りに対して或人なりの回答を出せないなら、そりゃあ世論に影響なんて与えられないっすよね。

加えて或人、ヒューマギアと関わってばかりで人間とは殆どコミュニケーション取らないので、ホントに正義がよく分からないキャラクター造詣になってしまっているっす。
その辺り、天津垓よりも飛電或人の方が問題は深刻だと思うっす。悪役の信念が定まっていないならまだしも、主人公の信念は定めなきゃ駄目っすよ! 定まっているからこそ、ブレたり悩んだりって展開が映えるっす! もしくはその信念を模索する造詣にして欲しかったっす!
没案のお仕事を転々とする主人公の方がぽかったんじゃないかなあって気がしちゃうっすね……。特にお仕事紹介路線を絶対のものにするなら。


■玩具販促と物語進行の噛み合わなさについて

サウザーが登場してからずっとサウザーと戦っているので、直前に登場したシャイニングアサルトホッパーだけでなく、メタルクラスタホッパー、バーニングファルコン、ランペイジバルカンについて、強化された感が薄いのも非常に残念っす。マギアやレイダーの妨害有無はあるっすけど、結局強化されようがサウザーと戦ってるだけっすからね……。

サウザーに変身しているから攻撃することができるって点を逆に捉えて、メタルクラスタの制御が効いた後からサウザー登場(変身)って演出もあったと思うっす。それまではレイダーで誤魔化して。「まさか仮面ライダーが人間を攻撃するんですか?」なんて言わせておけば、より憎たらしさが増してたと思うっすし、強化されていった感が分かりやすかったと感じてるっす。メタルクラスタによってレイダーへの対処どころか、マギカ化を治療できるようになった。そのタイミングでサウザーと云う絶望が登場する展開。さらにはバーニングファルコンも乱入してきて、不破だけは力不足になっていって……みたいな。玩具販売については予めスケジュールが決まっているので、こればっかりは仕方ないっすけどね。

せめてサウザンドライバーがもっと面白ければなあ。ぶっちゃけゼロワンドライバーと方向性が一緒なので、そこまで楽しくない……。(つーかショットライザーのプレイバリューが異常過ぎる)
サウザンドジャッカーの販促が過剰なのもちょっと気にはなったっす。これは不満ではなく、純粋な疑問。オーソライズバスターの販促との差異がとても気になっちゃうっす。


■新章への期待

人間とヒューマギアが笑い合える未来を目指す以上、或人はあくまでも人間の設定であってほしいっす。っすけど、劇場版でフォースライザー使えてた点とか、アサルトグリップが使えている点とかから、或人もチップが埋め込まれていそうなんすよね……。となると、不破と同じ人間とヒューマギアがひとつの肉体に共存した存在として、けれども意見を相違させて、最終的に対立してほしいなあと思うっす。

現状、ヒューマギアを人間から解放すると謳う迅が、ヒューマギアと人間を最も対等に扱っているような印象があるっす。その迅と或人が活動を共にすることで(可能であれば道具としての認識を改めて)人間とヒューマギアが笑い合える未来とは何か、の回答を出せるようになってほしいっすね。

加えて、天津垓には社会的な制裁がくだってほしいっす。何だかんだ言いましたっすけど、日本の支社長の分際で好き勝手やり過ぎっす!

刃にも新フォームが欲しいなあ。ファイティングジャッカルがプレバン販売かつ役者さんの音声付きってことなので、それをショットライザーに使うとか見てみたいっすよね。音声外付け変身ベルトの利点を活かすっす!

滅はアークの意思に従うだけの存在ではなく、迅や不破との交流から、彼だけの信念を見つけてほしい気もするっす。後、彼もスラッシュライザー使って欲しいっすね。

不破は、うん。このままヒーローやり続けて欲しいっす。君だけはそのままの君で良いっす。

ここまでの展開は今後のカタルシスを得るための、鬱憤を溜め続ける期間だと信じてるっす。ここから怒涛の巻き返しが起こることを期待してるっすよ!

ホント設定は面白いんだよ『ゼロワン』……。ヒューマギアとの共存を反対する人間がよく今までデイブレイクタウン付近に住めていたなとか、じゃあデイブレイクタウンの再開発を進めていた政治家って誰なんだよとか、ツッコミどころが多々目立つだけで、設定はどちゃくそ面白いっすよ……。

 

仮面ライダーゼロワン 変身ベルト DXエイムズショットライザー

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  • 発売日: 2019/08/31
  • メディア: おもちゃ&ホビー