痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

気まぐれで手に取った『大物喰いのダークヒーロー』の感想を書く6月20日。

最近またラノベを読むようになってきました。
と言っても、週に一冊も読めてはいないのですが。

今回はTwitterでオススメだと流れてきた、
『大物喰いのダークヒーロー』一巻の感想でございます。

 

 



『大物喰いのダークヒーロー』
音に出して読むとジャイアントキリングダークヒーロー。
地味に語呂が悪いなあと感じてしまう本作は、
異能バトルは日常系のなかで』で有名な望公太先生の新作です。
まあ、僕は『異能バトルは日常系のなかで』を一切知らないのですが。
書籍もアニメも手を出してないよ……。

Twitterでオススメだと流れてこなければ手を出していなかったかもしれない本作。
実は仕事でアイドルタイムが発生するのが明確で、なので適当な本でも買っておこうかと思って手を出しただけなんですよね。
しかも目当ては他にあったという……売ってなかったからこっちにしましたけど。

で、そんな経緯で読んでみた『大物喰いのダークヒーロー』ですが、
端的な感想としては「よくある最低系SSだなあ」といったもの。

別に「この展開しかない!」と断言はできないものの、可能性の一つとしては当然のように浮かんでくる策しか用いない主人公
なので、「実はこうだったんだよ!」と種明かしをされても、全く面白みがない

かと言って弱者が強者を倒すカタルシスに目を向けようとしても、
そもそも主人公が「不気味に強い」奴なのであまりジャイアントキリングしている印象にならない。
また、その大物であるルイやリザの強さがイマイチ伝わってこないのも拍車をかけております。
あのページ数でトーナメント優勝までやるなら、そりゃ一人ひとりの印象は薄いわなあ。

と言うか、誇大広告になってるんだよなあ……。
ダークヒーローだと宣伝されるにしては、用いる奇策はどこかで見たようなものばかり。
最低系SSをラノベ化したって特異点はありますが、魅力がそこにしかないように見える。
数年前から消費傾向には「データベース消費」という概念がありますが、
まさにデータベース通りの展開しかなかったので、面白味が薄れちゃいましたねー。



描写に関しても疑問点が多く。
例えば「的」に関して、具体的に手足のどこに展開(装着?)するか描写されてましたっけ?
手の甲なのか、肘なのか、肩なのか、あるいは選手によって自由なのか。
それによって『ソードウォウ』の闘い方も変わってくるように思えるのですが……。
また、競技化するようなものであれば、全員が全員我流というのも考えづらく、
そういう剣術要素が一切なかったのも気になるところ。
主人公だけが我流っていうのも、大物喰いっぽく魅せられるんじゃないかなあと思っちゃうんですよねぇ。
武装に関しては複数の企業の設定があっただけに、余計にそう感じます
企業ごとに剣術に適した武装を造っているとかさ。

また、リザに用いた奇策に関して気になるのは、魔弾の扱いについて。
魔弾に関して運営が一切チェックしないのってどうなんですか?
魔弾を発注したとかいう描写がありましたが、その流通が止まったらどうするんだ……?
運営が用意するとか、チェックするとか、対策していないのが不思議でならない。
事実、発光だけする魔弾っていう謎アイテムも生まれていますしね。
その謎アイテムがチートに属するものなら、今度はジャイアントキリングの要素が薄れるわけで……。
誰でも用意できるようなものなら、やっぱり運営がおかしい
それと、魔弾の点検ってどうやるんだろ。使い切りのアイテムよね?

そこも含めて、「世界を虚仮にする」なのかもしれませんが、それにしたって杜撰が過ぎねぇ?

女子寮が用意されているのに郊外に住んでいる主人公もちょっと謎。
特に檸檬子。寮の管理員何してんの? 多分そこも買収済みなんでしょうけど。



取り敢えずはそんなところ。
最低系SSとか、最低系やる夫作品とか、
もっと卑劣な奇策を用いている作品は複数あるため、
そことどう差別化するかも気になるところ。
特にこの作品は世界自体がかなり腐っているので、主人公が目的を達成してしまっても構わないのが大きいよなあ。
でもそれってダークヒーローじゃなくてヒーローの物語じゃないかな。ううん、今後の主人公の扱いが気になる。

 

 

最強喰いのダークヒーロー (GA文庫)

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