痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

大きな非物語と、物語なきキャラクター――シンデレラガールズ第二話

おはようございます、多分ニチアサを満喫しているであろう日谷さんです。
今回は『シンデレラガールズ』第二話の感想記事です。
別に毎回感想を書くつもりはないのですが、今回はTwitterで見かけた意見に関して思うところがあったので記事にしてみようかと。

要約すると、

「キャラが多過ぎて把握できない/できないまま放送が終わる」
「結局身内向けかよ」

みたいなものですね。間違ってはいないと思いますが、それで切っちゃうのはもったいないなと。

ってことで、『シンデレラガールズ』第二話の感想と、個人的な『シンデレラガールズ』の(特に新規に向けた)楽しみ方をまとめてみます。
例によってネタバレ注意ですので、お気をつけください。

 
あ、今回は先に用語を整理しておきます。
シンデレラガールズと記述した場合はアニメのことを、モバマスと記述した場合はゲームのことを指していると思ってください。
こういう注意を入れるということは、『モバマス』にも触れるってことです。
それと「新規」という言葉は「今までアイマスに触れたことがない視聴者」を想定した言葉として使っております。


さて。

「データベース消費」という言葉あるいは概念をご存知でしょうか?

例によって例の如く知らない方はググっていただきたいのですが、簡単に言えば

「現代は情報を消費しているんだ」

という考えです。乱暴にも程がある説明ですが。
(参考:『動物化するポストモダン』『ゲーム的リアリズムの誕生』等)




つまり、『モバマス』は「プロデューサーの目線から、アイドルの情報を収集・蓄積していくゲーム」と捉えることも可能です。

もちろん「強いカードを集める」とか「上位入賞」を狙うなどの目的(目標)もありますが、それも行き着く先は「アイドル情報の収集」ではないでしょうか?
新しいカードを手に入れることが、そのアイドルの新情報を入手することに等しいわけですからね。

で、ここで注目しておきたいのは、『モバマス』は「プロデューサー目線」ってところです。
すなわち、「プロデューサーが知り得ない情報は入手(消費)できない」わけですね。

シンデレラガールズ劇場などの、プロデューサーとは別目線からの情報入手の手段もありますが、やはり基本はプロデューサー目線です。
「誰と誰の仲が良い」ってのも、基本的にはアイドルの台詞をプロデューサーが聞くことでしか分からないわけです。



それを補う手段が二次創作なわけですが、それはそれとして『モバマス』の話は一時中断です。
シンデレラガールズ』の話をしましょう。




冒頭にも書いたように、『シンデレラガールズ』第二話には多くのアイドルが出てきました。
出ただけでなく、卯月たちと絡み始めました。これは第一話との大きな違いです。

好きなアイドルが動いたってことでプロデューサーさんは騒ぎますね。これは当然です。
でも知らないキャラクターが沢山出てきたら、新規さんはついていけません。情報量過多です。それも分からなくはない展開です。

――が、別についていく必要はないんですよ。それは、いわゆる「身内向け」の消費(楽しみ方)です。

「結局身内向けかよ?」そうですが、そうではありません。
消費の方向を変えてみましょうよって話です。



第一話の感想記事でも書きましたが、『シンデレラガールズ』は物語構造が(少なくとも今のところ)練られている作品です。
 
その物語構造は、「島村卯月」「渋谷凛」「本田未央」の目線による「ヒーローズ・ジャーニー」の構造です。

プロデューサーの目線ではないのです。もっと言えば、視聴者の目線ではないのです



どういうことか。

例えば「卯月とちゃんみおが川島さんに会って興奮していた」「(比較的視聴者の目線に近い)しぶりんが城ヶ崎美嘉を知っていた」とかが分かりやすいですね。
新規にとっては知らないキャラクターを、作中の視点キャラクターは当然のように知っている。

ここに視聴者との情報量のすれ違いが発生しているわけです。
そりゃあ、ついていけないのも分かるって意見です。
あ、これは別に新規に限った話ではありません。
川島さんや美嘉をはじめとした他のアイドルが、『シンデレラガールズ』でどういう位置にいるのかは、作中で説明されるまで分かりませんからね。
分かりやすいのはウサミン辺りでしょう。彼女は(『シンデレラガールズ』において)トップアイドルなのか、デビューしたばかりの駆け出しなのか。まだデビューしていない候補生かも知れないし、もしかしたらアイドルですらない可能性も?
作中で明言されないと、作中での位置って分からないんですよね。


要するに、

「『シンデレラガールズ』は(新規の)キャラクター消費には向いていない」ってことです。




「じゃあ新規は『シンデレラガールズ』を楽しめないのか」って、そういうことではありません。
消費の方向性を変えるのです。つまり、

「データベース消費」から「物語消費」へと方向性を変えるのです。

ここでの物語消費は『シンデレラガールズ』の世界観消費という意味で用いており、『モバマス』の世界観消費ではないことをご留意ください)


シンデレラガールズ』を、「島村卯月」「渋谷凛」「本田未央」を中心に捉えるサクセスストーリーとして楽しみましょうよ。
それだけでも十分に面白くないですか?
それすらも無理って言われると、私にはどうしようもなくなりますが。




まずは三人の目線で物語を楽しみましょう。そして、その中で自分が気になるキャラクターを見つければ良いのです。



第二話だと

エナドリを差し入れしてくれる天使のようなお姉さん千川ちひろ

・木登り妹城ヶ崎莉嘉

・エステにいた女性川島瑞樹

・ウサミミメイド安部菜々

中二病神崎蘭子

・働いたら負け双葉杏

・やたらセクシーな姉城ヶ崎美嘉


辺りが気になった方は多いんじゃないでしょうか、勝手なイメージですけど。





で、ですね。物語を見ていて気になるアイドルが見つかったら、モバマス』を始めて、彼女たちを消費すれば良いのです。
もちろん主人公ポジ三人娘が気になったから始めても良いのです。
アニメでは見られないかもしれない気に入ったアイドルの物語を、自分(プロデューサー)の目線で追いかけるのです。



シンデレラガールズ』はキャラクター消費の入り口やきっかけだと考えましょう。




今後、物語が進むにつれて「島村卯月」「渋谷凛」「本田未央」以外のアイドルの物語が描写される可能性はあります。
特にシンデレラプロジェクト(同期)のメンバーは、機会に恵まれるでしょう。

しかし、わざわざそれを待つ必要性は(新規には)ありませんし、機会に恵まれず描写されないアイドルだっているかもしれません。
むしろ、そういう『シンデレラガールズ』で物語が描かれないアイドルのほうが多いかもしれません。



それなら『モバマス』を始めて、自分の目線でアイドルを消費しましょうよって提案です。



モバマス』を始めるのが面倒なら、動画を見たり、イラストや漫画を眺めたり、SSを読んだって良いわけです。

「自分の目線」とは少しズレますが、気になったアイドルがどういう消費をされているのかを知るという意味では、『モバマス』よりも深くアイドルのことを理解できる可能性もあります。



結論としては、キャラクター消費が困難だからって理由で切るのはもったいない。
それならまずは物語に期待して観続けてはいかがという提案を、リアル知人に向ける目的で書かれた記事でごぜぇました。



好きなアイドルに出会うことができたら、また違った目線で『シンデレラガールズ』を楽しめると思いますよ? ――以上。












あ、第二話の感想ですか?

「アイドルがいっぱい出て嬉しいけど、名前叫んでるだけで放送終わっちゃうww」辺りです。後は「まひろんマダー?」とか「ちひろさんが思っていたより可愛い」とか「川島さんがすげぇ色っぽくて素でドキッとした」とかですね。――以上。






冗談はともかくとして第二話の感想ですが、セルフツッコミが面白いなあってのが大きい。

ギャップによる脳のパニックを収束し、違和感を快感に変えるのがお笑いの「ツッコミ」という技術ですが、『シンデレラガールズ』のズルいところは拾うつもりのなかったボケを「ツッコミ」によって「ボケ」と認識させてくるのが面白いですよね。主にしぶりんなんですけど。
ぼけーっと眺めがちな会話劇を、しぶりんの「ツッコミ」で耳を離せないものとしているのが、楽しくて結構気に入っていたり。
特別に面白いことを言っているわけでもないのにクスッとできちゃうのは、この作品の強みのひとつだと思います。

難しい顔して観るよりも、笑顔で観たほうが、少なくとも『シンデレラガールズ』は楽しめるでしょうしねー。

 

定本 物語消費論 (角川文庫)

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