痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

10月9日はアニメ版『ゴブリンスレイヤー』第1話の感想を書く。

 

あまり書くつもりはなかったんですけど、何故か当ブログにゴブリンスレイヤー△つまらない」や「ゴブリンスレイヤー△面白さがわからない」みたいなワードで辿り着かれるみたいで、甚だ遺憾な為、記事を書くことに致しました。当ブログはアンチブログではありません。むしろファンです。

 

 

とは言え、基本的にはAAスレ版や小説版をアニメーション化しただけに思えます。(漫画版は未読)

3人称による説明描写がなくなっているのが特徴であり、又その分戦闘描写に動きがああるのも特徴ですね。お手本のような小説原作アニメーションに感じます。

 

全滅描写が非常に丁寧になっておりましたが、このゴブリンの残虐さを描写することで終盤につなげているんだろうな、とも。恐らく第一巻の内容で終わりになるんでしょうし。

 

感想自体は上記で終わってしまう為、ゴブリンスレイヤー』を楽しむ為のポイント的なものを記しておこうかな、と。

 

第一話は観ての通り、「セッション第一回大失敗」なお話です。

CRPGであれば、ゴブリンに負けたところでリセット&リスタートするだけです。TRPGであっても、通常セッション(キャンペーン)の第一回から全滅させてくるようなGMはそうそういないでしょう。そもそもPLが準備を怠らないでしょうし、GMも気を遣って救済策を入れてくるでしょう。明らかに準備を怠ったり、全滅したいような行動ばっかり取っていたらGMが怒って全滅させてくるかもしれませんが、それは自業自得なだけです。例外です。

通常、PLが操作するPCが、第一回から全滅することはまずありませんし、ましてや帰還もできないというのは有り得ないでしょう。

 

しかし、物語世界で考えた場合、第一回から全滅するキャラクターがいるのは何もおかしくありません。むしろ多いのではないか、というのが『ゴブリンスレイヤー』の根底にある思考です。

だって、物語世界におけるキャラクターにとっては、ゲームじゃないんですもの。ましてやPCという存在がいないので、メタ的な思考もできません。見識判定的なものに成功すればデータは確認できますが、失敗するあるいは挑戦できなければデータも知らない相手に突っ込むことになります。第一話では賢者が不意打ちされて、情報も分からないまま全滅という、お手本のような全滅パターンでした。トーテムに対しての見識判定に失敗していたのも痛いですね。

 

そもそもですね、第一回目で全滅しないのであれば、冒険者の数が溢れてしまいますよ。一回も失敗しない? 伝説級の勇者が溢れてしまいますね。

成功する冒険者の裏に、失敗するキャラクターがいるのではないかという考察は何もおかしくありません。

 

そこに関する思考を持てるかどうかが、『ゴブリンスレイヤー』を楽しめるかどうかの1つの境目だと思います。

 

そして次の思考としては、伝説級の勇者になれる冒険者ばかりではないということ。

言い換えれば、ドレイク的な存在よりも、ゴブリン的な存在のほうが、明らかに物語世界には多いということ。

ゴブリンスレイヤー」ほど徹底している存在は珍しいでしょうが、多くの冒険者は、いわゆる「強敵」に出会うチャンスもないまま、中堅どころを維持しているのではないでしょうか。

そうでなければ、上でも言った「伝説級の勇者が跋扈する世界」になります。

PL目線で捉えてしまうとそういう世界であるように錯覚しそうにもなりますが、実際はそうではありません。冒険者はゴブリンやネズミを殺すところからスタートしますし、しばらくそんなセッションばかりをすることもあるでしょうし、時には失敗することもあるでしょう。「現実」ってそんなものなのよそうでなければ私は小説家として大成しています。

 

ゴブリンスレイヤー』の面白さとは何なのか。

「ゴブリンを殺す物語」が面白いのかと言えば、答えはノーです。どう考えても強敵を次々と撃破していく成長物語のほうが面白いです。PCとしてPLを操作するのであれば、尚更です。

しかし、そういう世界に対してメタ的に、あるいは上位階層からシステムを覗く作品として、『ゴブリンスレイヤー』は非常に面白い。GMとPLの掛け合いに依る作品ではないので、マンチキン的なプレイが許されているのも面白い。真似してTRPGで再現したくなる。そしてGMに怒られる。

しかし、こう考えるとアニメーションでの3人称描写の省略はもったいないかもしれません。神々の遊び感が薄れちゃってる。最終話で突っ込んでくるかもしれません。

 

まとめると。

ファンタジー活劇が好きとか、成長物語が好きってタイプの消費者には合わない作品かもしれません。しかし、物語世界の考察とかが好きな消費者には非常に好みな作品ではないでしょうか。TRPGプレイヤーあるあるな描写も多いですし、いろいろな意味で「オタク向け」な作品かもしれません。何故にこんな売れたんじゃろ。

 

どうせなら、『ゴブリンスレイヤー』からTRPGに興味を持つ層が増えると良いなあ。ニコニコ動画の影響でクトゥルーのプレイヤーは増えたましたが、ハイファンタジー作品の卓は探さないと見つからないんだよなあ。

別に『ゴブリンスレイヤーTRPG』じゃなくても良いので、がっつりハイファンタジーを遊びたい。

 

 

ある冒険者たちの結末

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