痴レ者につき。

井の中の蛙が、井の中から空を見上げたり、井の中に落ちてきた枯れ葉を眺めては、「これは何だらう」と愚考する系チラシの裏。

やっとこさっとこ読み切った『ゴブリンスレイヤー』第二巻の感想を喜色満面で書く6月27日。

やっと読めましたよ、『ゴブリンスレイヤー』2巻!
発売から一ヶ月も経ってしまいましたが……取っておいただけの価値はありました。
できればもっと早く、それこそ発売日に読みたかったのも事実ですけど。

以下、ネタバレ込の感想です


 



「粉塵爆発wwwwwwww」

ってのが今巻の感想です。や、冗談ですけどね。

TRPGで粉塵爆発を、それも友好NPCを手配してまで実行するなんて正気の沙汰じゃない……ww

 


二巻のテーマは
「キャンペーン化した卓」
「ゴブリンスレイヤーは何故ダイスを振らないのか」
の二点にあてられていた印象があります。

前者はキャンペーンの第二話っぽく、地元を離れての冒険。
さらに迷宮探索という、第一巻にはなかった冒険展開です。
こうなると、第三巻はシティアドですかね?
秋の収穫祭って伏線も張られたわけですし。
収穫祭の裏側で起こる陰謀をゴブスレが解決する展開なら、牛飼娘や受付嬢も、
冒険者としてのゴブスレの活躍を目にできるわけですし。

第一巻の感想で、『ゴブリンスレイヤー』は行きて帰りし物語を繰り返しているといった旨を書いたような記憶があるんですが、
第二巻はしっかり丁寧に、一つの生きて帰りし物語を描いていたのも印象的です。
これは第11章のサブタイトル『往きて、還りし』(つーか今回も章題のセンスが素敵すぎる)からも読み取ることができ、作者が意図して構成したんだろうなと想像することもできます。
や、本当に丁寧に要素を拾っていて吃驚しましたもの。
強いて言えば「生きて帰りし物語」の構成通りなのでピンチになるタイミングが読めてしまったこともありますが、
そこからの脱出方法が『ゴブリンスレイヤー』らしいのであんまり気にならなかったかなあ。



ゴブスレのピンチという面から見れば、もう一つのテーマである「何故ダイスを振らないのか」が明確に描かれた場面でもあります。
子鬼英雄への不意打ち失敗、からの致命的一撃。
そして過去の回想シーンから読み取れる、ゴブリンに対して何もしなかった点。
ゴブスレって、かなり初期ステータスが低いんじゃないですかね? それこそ、冒険者シートもなかった、モブNPCだったのではと疑いたくなります。
特にLUKさらに職業は戦士なので、経験点による増加も見込めなかった。
だから、ダイスを振らない。ダイスを振ると、失敗する可能性が発生するから。
――かなりCoCの探索者に近い考え方ですけどね。

そんなゴブスレに対してダイスによる判定を勧める妖精弓手は、中々に鬼畜なのでは……?

まあ、粉塵爆発とかやってる時点で、必ずしもダイス判定を強要しているわけでもないのか。
それにしても粉塵爆発を正確にやろうとしてるのがすごいよな……。
ちゃんと《聖壁》で密封空間にして、かつ粉塵爆発そのものが直接の討伐手段ではない。
それでもTRPGで粉塵爆発やるのは笑ってしまいますねー。



テーマとはまた異なるのかもしれませんが、
第一巻が終わったことによって薄れてしまった「ゴブリンの恐怖」を再認識させる意図もあったのかな、と思います。
子鬼英雄によるゴブスレの致命傷。剣の乙女でさえ恐怖する子鬼の習性。
そして、王様による子鬼討伐への誤認。
この辺りから、ゴブスレがいても絶対に安心はできず、ゴブリンを侮ることってできないんだなあと思い直しました。

余談ですが、王様によるゴブリンの認識不足って、どこかで読んだ気がします。
後、昇級審査に見せかけた不良冒険者の追放もどこかで読んだ気が。最終話付近で。
この辺りが記憶違いでないのなら、海ゴブリンに見せかけた別種のモンスターと仲良くなる小話とかも描かれるかもしれませんね
地味にあの小話好きなんですよ。



後はアレですね、ヒロインが増えるかと思いきや増えず、でもまた水の都に行ったら絶対に絡んでくるんだらうなと思わずにはいられないヒロインが生えたり。
牛飼娘と受付嬢が結託してたりするのが妙におかしかったり。また、妖精弓手は牛飼娘推しっぽいところが垣間見えたり(手紙の下り)
一巻からの人間関係の変遷が散りばめられているのも良いところ
わざわざ小麦粉を運ぶ槍兄貴も素敵です。多分、受付嬢のことがなければもっと仲良いんだろうな、こいつら。



取り敢えずはこんなところでしょうか。
相変わらず女神官が可愛いヤッターな話でしたというかメインヒロインは女神官で良いのか?
ダブルヒロインである牛飼娘は妙に影が薄かったような……三巻で本気出してくる?
魔女さんも素敵なので、是非おまけSSで書かれていた下着をつけたイラストをですね、どこかに流していただけないでしょうか。

あ、一点だけ不満点がありました。
巻頭のMTG風(でもなかったけど)フレーバーテキスト。アレ、どうして無くしちゃったんですか?
かなり好きなんですけどねー、ああいうの。
お色気には勝てなかったということでしょうか。



その一点だけを除けば大満足だった『ゴブリンスレイヤー』第二巻。
第三巻も期待しております。シティアドだ! お祭りだ!
センスライ持ちを連れてこよう!



 

 

ゴブリンスレイヤー2 (GA文庫)

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